2016年5月23日
センスだけじゃない!ロゴデザインに見る素人とプロデザイナーの違い
目次 ▼
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プロデザイナーと素人、何が違う?
プロデザイナーによるデザインと素人によるデザインの違いは、センスの差だけではありません。
プロデザイナーによるロゴ制作であれば、コンセプトワークからデザイン完成にいたるまで多くのプロセスを必要とします。
こちらのサイトでは、ロゴやマークが出来上がるまでのプロセスをGIFアニメーションにして紹介していますが、ご覧いただければ簡単に制作されたものではないことがよくわかります。
参考:
Animated Logo Design Process Showcase
ラフスケッチから完成に至るまで多くの試行錯誤が繰り返されており、デザイナーの苦労が垣間見えます。
またデザイナーには、モニター上に表示される色だけでなく印刷に使用できる色かどうか…など印刷技術や色に関する知識も必要です。
素人の場合、「金色や銀色などの『特色』をロゴに使用するのはNG」など、デザイナーにとっては当たり前の知識を知らなかったり、一見美しいデザインに見えても「文字間のバランスが悪い」「異なるフォントを使いすぎる」といった様々なデザインのタブーを犯していたりもします。
そこで今回は、ロゴデザインに見るプロデザイナーと素人の違いをご紹介したいと思います。
ロゴとシンボルマークの違い
プロデザイナーと素人の違いを説明する前に、まずはロゴに関する基本的な説明をしたいと思います。
実は、ロゴとシンボルマーク、ロゴマーク、ロゴタイプは似ているようで定義は異なります。
ロゴタイプは、デザインされた文字・文字列を指します。ブランド名や商品名、団体名、雑誌名などを印刷・表示する際に使用されます。
シンボルマークとは、会社や団体、商標、個人などを象徴する意匠、マークのことです。家紋もシンボルマークの一つです。
シンボルマークとロゴタイプがセットされたものをロゴマークということもあります。
ロゴとは、元々はロゴタイプの略称ですが、現在では、シンボルマーク、ロゴマークの総称としても使われています。
ロゴタイプのみの場合、ロゴタイプとシンボルマークを組み合わせた場合、シンボルマークのみの場合と、使用パターンはいくつかあります。
見慣れている有名企業や商品のロゴもそれぞれタイプがありますので、一度じっくり観察してみるのも良いでしょう。
プロデザイナーと素人の違い1.プロはタイポグラフィの基本を理解している
タイポグラフィとは、元々は活版印刷術のことです。
文字表現のデザイン処理のこという。情報伝達に適合したスペース、書体、大きさ、字間、字数、行間、行数等の選定だけではなく、注目度、可読性、美しさなどへの配慮が重要である。
タイトルロゴや商品ロゴなどいくつかの文字が組み合わさったロゴの場合、アイソレーションゾーンや文字詰め(カーニング)などのタイポグラフィの基本的な知識を理解する必要があります。
アイソレーションとは、ロゴの周りにある余白のことで、字詰め(カーニング)とは、文字間の幅のことです。
プロポーショナルフォントなどは、文字ごとに横幅が異なるため、それぞれバランスのよい文字間隔を設定しておく必要があります。
これらのバランスが悪いと、見た目にも違和感を感じます。
プロデザイナーと素人の違い2.プロは視認性・再現性を意識している
ロゴはあらゆるシチュエーションを想定して作られなくてはいけません。
モノクロになったときや、紙以外のモノに印刷されたときに再現性はあるか、ロゴとして認識できるかどうか、読めるか…も重要です。
紙以外だと、例えばタオルにロゴが印刷されたとき、潰れて何が書いてあるのかわからない、読めない状態になってしまわないか、といった点です。
他にもコップや水筒など丸みのあるものに印刷されても崩れて見えないかどうか、縮小したときにどのように見えるのか…なども気にしなければいけません。
また、モニターで表示される色(RGB)と印刷された色(CMYK)では、違いがあります。
ところがごくたまに、印刷の知識を持たない方が印刷物のデザインをする場合に、モニターで見る色(RGB)と紙の印刷で見る色(CMYK)の違いを考慮していないことがあります。
冒頭で挙げた特色や配色理論などデザイナーとして当然の知識の有無と意識の違いでデザインに差が出ます。
また、ロゴは単体で使われるとは限りません。グッズ展開が想定されるロゴについては、様々なシチュエーションを考えなくてはいけません。なかにはモノグラムのように使われることもあります。
そうなったときに違和感のないデザインであるかなども、制作時には意識せねばならないことです。
プロデザイナーと素人の違い3.プロはコンセプトワークがしっかりしている
ロゴのデザインには様々な思いが込められています。「なぜこのようなデザインにしたのか」をちゃんと説明できるのがプロのデザイナーです。
プロデザイナーによるロゴは決して「何となく」でデザインされているわけではありません。
プロデザイナーであれば、ロゴを作る際のコンセプトワークとして、経営理念、企業の歴史、事業内容、代表的な商品、未来への展望、ブランディングの方向性など、クライアントに対して様々なヒアリングを行います。
もちろん、クライアントからの「こういうデザインが良い」というようなリクエストも伺います。
企業や商品ロゴに隠された由来や想いには、それぞれいろいろなドラマがあります。
例えば、以下はソフトバンクグループのロゴの由来です。
ソフトバンクグループは、同志の船。そしてマストに翻るのは、21世紀の海援隊旗。
このシンボルには、「情報革命で人々を幸せにしたい」「30年、300年先の世界の人々が感嘆するような仕事をしたい」という、ソフトバンクグループの熱い思いが表象されています。
このように大手企業のコーポレートサイトにはロゴの説明が掲載されていることがあります。
自分の好きな企業のロゴがあればぜひ調べてみてください。いろんな意図が隠されていることに驚くことでしょう。
ロゴデザインに見る素人とプロのデザイナーの違いとは
普段何気なく見ているロゴも、ベースになっているフォントはどれか、どのような業種なのか、マークのモチーフになっているものはなにか…などを意識してみましょう。面白い発見があるはずです。
また、時代を読む力もデザイナーには必要です。
歴史ある企業もロゴはリニューアルを繰り返しています。その時その時のトレンドによってロゴは新しくなります。
デザイナー向け情報サイトのcolisでは、毎年のロゴのトレンドを特集しています。
参考:
2020年最新版!最近見かけるロゴのデザインに使用されているトレンドのまとめ -2020 Logo Trends
日本だけでなく、海外の企業やブランドのロゴも常時チェックしておくと良いでしょう。
ロゴなんて誰が作っても同じ…というワケではありません。
プロのデザイナーはデザインや印刷、タイポグラフィーの基礎知識はもちろんのこと、センスや経験に裏付けされた技術を元にデザインをしています。
もしあなたがロゴデザインを依頼する際には、デザイナーのこれまでの実績やコンセプトワークの内容などを確認してみるのも良いでしょう。