2024年3月18日
広報誌・機関誌・社内報における誌面の作り方とは?誌面設計に必要な要素や手順を解説!
目次 ▼
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広報誌、機関誌、社内報などの冊子を制作する際、まずはじめに行うのが「誌面設計」です。
誌面設計とは、1ページあたりの行数や文字サイズ、余白の広さなど、誌面を構成する要素を決め、フォーマットを作ることを指します。
実際の誌面設計は制作会社やデザイナーが行うことが多いですが、誌面設計に必要な要素や流れを知っておくことで、ラフ作成やレイアウト決めにも役立ち、制作会社ともスムーズにやりとりができるようになります。
そこで今回は、誌面設計に必要な要素と、実際の設計手順についてご紹介いたします。
誌面を構成する要素
まずは誌面設計に必要な要素についてご紹介していきます。
版面(はんづら)
版面(はんづら)とは、ページにおいて、文章や図、写真などを配置する、誌面のレイアウト部分のことを指します。
版面は誌面の基本的な枠組みであり、誌面スペースの中に読んでもらう要素がどれだけ占めるかによって、その冊子の印象が変わります。
マージン(余白)
マージンとは余白のことで、版面以外(=レイアウトしない部分)のことを指します。
一般的にマージンにはテキストや図などは配置しませんが、書籍や雑誌の場合は余白部分にノンブルや柱などを入れるケースもあります。
天(てん)
天とは、本や冊子を見開いたときの上部を指します。
地(ち)
地とは、本や冊子を見開いたときの下部を指します。
ノド
ノドとは、本や冊子を見開いたときの内側(=綴じ側)を指します。
小口(こぐち)
小口とは、本や冊子を見開いたときの外側(=持ち手側)を指します。
ノンブル
ノンブルとは、見開いたページの中のページ番号のことを指します。
柱(はしら)
柱とは、書籍・雑誌の各ページのマージンに入れる書名・章・節・項目などのことを指します。
柱には、奇数ページと偶数ページの両方に配置する両柱と、片方のページのみに配置する片柱があります。
級
級とは、文字のサイズを表す単位です。
文字サイズの単位としては「ポイント(pt)」が馴染み深いかもしれませんが、印刷やデザインにおいては主にこの「級(Q)」という単位が使われます。
ポイントがインチ体系に基づいた単位であるのに対し、級はメートル法に則って設定されており、厳密にはポイントと級で文字のサイズが異なります。
▼級とポイントの違いについては以下の記事で詳しくご紹介していますのであわせてご覧ください。
行送り
行送りとは、行の一番上から次の行までの長さである「文字サイズ+行間」のことを指します。歯送りとも呼ばれ、「歯(H)」という単位で表されます。
▼以下の記事では行送りについても詳しくご紹介しています。
段組み
段組みとは、縦組み/横組みにかぎらず、ページ内の文章をブロックごとに分割することを指します。
一行あたりの文字数が多い場合は、このように段組みを取り入れることで、行末から行頭への視線の移動が短くなり読みやすい誌面になります。
誌面設計の手順
①判型を決める
判型とは、書籍や冊子の仕上がりサイズのことです。
まずはA4やB5といったサイズを設定します。
②組み方向を決める
組み方向には、文字を縦に読ませる縦組みと、横に読ませる横組みがあります。
日本語は縦組みと横組みのどちらでも読むことができる言語ですが、アルファベットや数字を多く使用する際には横組みのほうが適していると言えるでしょう。内容や読者層にあわせて選択することが大切です。
③マージンを決める
つづいては、ページ内の余白であるマージンを決めていきます。
A5の場合、マージンはそれぞれ20mm前後ずつが目安となりますが、天と地のマージンは柱やノンブルの有無によって調整していきましょう。
マージンを決めると、自ずと版面の大きさが決まります。誌面において版面が占める割合のことを「版面率」と言い、版面率が高いと情報量が多くにぎやかな誌面を作ることができ、版面率が低いと落ち着きのある印象を与えることができます。
一方で、版面率が高いと余白が狭くなるため読者に圧迫感を与えやすく、反対に版面率が低いと余白が広くなるため1ページに掲載できる情報量が限られてしまうというデメリットもあります。
文芸・小説などの読み物はマージンを多めにとる、雑誌・新聞などの情報を扱うものはマージンを少なめにとるなど、目的や読者対象にあわせてケースバイケースで決めるとよいでしょう。
一般的に書籍のような文字中心のものは版面率60%~70%、雑誌やパンフレットでは75%~80%程度が目安となっています。
④本文の文字サイズを決める
マージンと版面が決まったら、本文の文字サイズを決めます。
一般的なA4サイズの冊子では12~14級が読みやすいです。
⑤一行あたりの字詰めを決める
版面と文字サイズが決まると、自ずと一行あたりに何文字入るかが決まります。
例えば、文字サイズが13級の場合、 1級=0.25mmのため「13級×0.25mm」をすれば13級の文字サイズが3.25mmであることがわかります。さらに版面の長さを文字サイズで割ると一行あたりの字詰めが計算できます。
一行の文字数が40字を超えると視線の移動が大きく、読みにくくなるため、その場合は段組みにするなどの工夫が必要です。
⑥行送り・行間・行数を決める
つづいては行送りを決めます。行送りは「文字サイズ+行間」のことを指し、行間が狭すぎると文字が詰まって読みにくくなるだけでなく、ルビを入れるスペースがなくなってしまうため、級数の1.6倍程度開けておくとよいでしょう。
例えば、13級の場合は「13級×1.6倍=20.8」となるため、最適な行送りは21歯と言えます。
また、一行が長い場合は行送りを広く、反対に短い場合は行送りを狭くすると読みやすさが上がります。
文字サイズと行間が確定すると、版面の中に入る行数も自ずと定まってきます。
⑦段数・段間を決める
一行あたりのテキスト量が多い場合は段組みを活用し、文章を分割します。判型にもよりますが、2段組みか3段組みが一般的です。
また、段数が2段以上になる場合は段と段の間に「段間」が生まれます。段間が狭すぎるとかえって読みにくくなってしまうため、2文字分以上は空けておくとよいです。
まとめ
今回は誌面の構成要素と誌面設計の手順についてご紹介しました。
こうした誌面設計は一度フォーマットを作成してしまえば、毎回のレイアウトがかなり楽になります。
広報誌や機関誌、社内報などの冊子の場合には、全ページ同じレイアウトだと読者が飽きてしまうため、基本の誌面設計は保ちつつ、コーナーごとに変化をつけるのがよいでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。