2025年4月4日

マニュアルの質を高めるヒアリング術!7つのステップと質問例を解説

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

マニュアル作成において、現状の業務を正確に理解するためにはヒアリングが欠かせません。ヒアリングの精度が高ければ高いほど、完成するマニュアルの質も向上します。適切にヒアリングを行うことで、実際の業務に即したわかりやすいマニュアルを作成することができます。

今回は、マニュアル作成におけるヒアリングの方法と具体的な進め方について詳しく解説します。

マニュアル作成や取扱説明書の作成ならマニュアル制作.com

ヒアリングの方法

ヒアリングにはいくつかの方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。目的や状況に応じて最適な方法を選びましょう。

個別ヒアリング

一対一で担当者に直接話を聞く方法です。実務担当者のノウハウや業務上の課題を深く掘り下げることができ、業務の詳細やフローを詳しく把握したい場合に適しています。ただし、一人の担当者に話を聞くため、意見が偏ったり、情報が誤っている可能性がある点に注意が必要です。

グループヒアリング

複数の担当者を集めて話を聞く方法です。多角的な意見を集めやすいことに加え、参加者同士の対話の中で新しい意見や改善点が出やすいのが特徴です。一方で、複数の担当者を集めるため、スケジュールの調整が難しかったり、参加者が多いと話がまとまりにくいというデメリットがあります。

書面ヒアリング

ヒアリングシートを送付し、担当者に記入してもらう方法です。時間や場所に制約されないため、忙しい担当者でも対応しやすく、多くの人から効率的に情報を収集できます。一方で、その場で深掘りができないため、追加のヒアリングが必要になったり、記述内容において認識の齟齬が生じる可能性があります。

現場でのヒアリング

作業現場に同行し、業務を実際に見ながら話を聞く方法です。口頭説明や書面だけでは伝わりにく業務や操作などを目で見て確認することができます。また、担当者が無意識に行っている作業なども発見しやすく、情報の抜け漏れが発生しにくいです。ただし、現場の状況によっては十分な時間を確保しにくく、時間や場所が制限されてしまうことがあります。

マニュアル作成におけるヒアリングの流れ

効果的なヒアリングを行うためには、事前準備が欠かせません。以下の手順に沿って進めることで、スムーズに情報を収集することができ、ヒアリング対象者の負担軽減にもつながります。

1.ヒアリングの目的を明確にする

まずは何のためにヒアリングを行うのかを明確にします。例えば、新入社員向けのマニュアルなら「業務の流れや基本ルール」、トラブル対応マニュアルなら「具体的な対応手順や判断基準」など、重点的に収集すべき情報が異なります。

目的が曖昧なままヒアリングを進めようとすると、必要な情報を十分に得られない可能性があるため、ヒアリングの精度を上げるためにも、事前に目的を明確にしておきましょう。

2.ヒアリング方法を選定する

先述のヒアリング方法から、目的に適した手法を選びます。
収集したい情報の種類や時間的な制約も考慮し、最適な方法を選びましょう。

3.ヒアリング対象者を決める

実務担当者、管理者、関連部署の担当者など、必要な情報を得るために適切な対象者を選びます。対象者によって視点が異なるため、必要に応じて複数の人から話を聞くことも重要です。対象者が決まったらヒアリングを行う日程も調整しましょう。

4.事前調査を行う

既存のマニュアルや関連資料を事前に確認し、業務の概要を把握しておきましょう。これにより、ヒアリングシートも作成しやすくなり、ヒアリングの質や効率が向上します。

5.ヒアリングシート(質問リスト)を作成する

ヒアリングすべき項目を整理し、質問を事前にリストアップします。質問の例は後ほど詳しくご紹介しますが、ヒアリング項目のカテゴリとしては、以下のような内容が挙げられます。

・業務全体の流れ
・作業手順と所要時間
・使用するツールやシステム
・注意点やポイント
・現場の工夫や改善点

作成したヒアリングシートは、事前にヒアリング対象者へ送付しておくとよいでしょう。対象者の負担が軽減され、より具体的な回答を得やすくなります。

6.ヒアリングを実施する

準備が整ったら、実際にヒアリングを行います。録音やメモを活用し、後で情報を整理しやすいように記録を残しましょう。ヒアリングの具体的な流れは、以下のとおりです。

①ヒアリングの趣旨を説明

まずは、対象者にマニュアル作成の目的やヒアリングの趣旨を説明しましょう。そうすることで、対象者はどのような情報を話せばよいのかがつかみやすくなります。

②業務の流れを確認

時系列に沿って業務全体の流れをヒアリングします。まずはここで業務の全体像を整理しましょう。例えば、以下のようなヒアリング項目が挙げられます。

(例)
・業務の開始から終了までのおおまかな流れは?
・業務の目的は何か?
・業務を開始する前に事前準備は必要か?
・この業務を開始するための指示やトリガーはあるか?

③詳細な業務内容をヒアリング

業務全体の大枠を把握したら、次は各業務の手順や作業内容を具体的に聞き取ります。ヒアリングをする際は、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識して質問すると、より明確な情報を得やすくなります。

(例)
・この業務を行う頻度やタイミングは?
・関連する業務や他部署との連携はあるか?
・具体的な手順は?
・作業に必要な資料・ツール・ソフトウェアはあるか?その操作方法は?
・業務を完了したと判断する基準は?
・進捗管理や報告のルールはあるか?

④注意点や改善点を深掘り

業務を進めるうえでのポイントや注意点、トラブル対応、現場での工夫などを深掘りしていきます。業務の手順や内容だけでなく、こうしたポイントもヒアリングすることで、より実践的なマニュアルになります。あわせて、現場で困っていることや改善点もあわせてヒアリングすると、業務改善の手がかりにもつながるでしょう。

(例)
・作業を効率よく進めるコツは?
・よくあるミスや注意点は?
・業務品質を保つための基準は?
・トラブル発生時の対応フローは?誰に相談すればよいか?
・現在の作業フローで困っている点は?
・もっと効率化できる部分はあるか?
・既存のマニュアルの問題点は?

7.ヒアリング内容を確認

ヒアリングが終わったら、内容を整理し、誤った情報がないか、情報の過不足がないかを関係者と確認します。誤った情報がマニュアルに記載されると、業務の混乱を招いたりミスの原因になるおそれがあるため、必ずダブルチェックを行いましょう。整理した情報に不足や矛盾、曖昧な点があれば、再度ヒアリングを行います。

情報が集まったらヒアリングした内容をもとに、原稿を作成し、マニュアルとしてまとめていきます。

▼マニュアル作成時に気を付けたいポイントについては、以下の記事もあわせて参考にしてください。

まとめ

今回は、マニュアル作成におけるヒアリングの種類と具体的な流れについてご紹介しました。

ヒアリングは、マニュアル作成の中でも特に重要な工程の一つです。準備から実施、内容整理まで、時間と手間がかかる工程ではありますが、精度の高いヒアリングを行うことで、実際の業務に即した実用的なマニュアルを作成することができます。

ヒアリングに十分な時間を確保するのが難しいという場合は、外部に委託するのも一つの方法です。以下の記事もあわせて参考にしてみてください。