2022年10月17日

使いやすいマニュアルとは?作成時に気をつけたい5つのポイント

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

マニュアルの効果を最大限発揮するためには

これまでに神楽坂編集室では、いくつかの記事内でマニュアルの必要性についてお伝えしてきました。

マニュアルの必要性と4つのメリット

これまでお伝えしてきたように、マニュアルにはさまざまなメリットがあります。

マニュアルのメリット1.人材育成・社員教育にかかる時間の短縮
マニュアルのメリット2.属人化の解消
マニュアルのメリット3.品質の維持
マニュアルのメリット4.業務効率の向上

参考:マニュアルの必要性と4つのメリット

しかし、ただマニュアルを作ればそれだけで効果があるかというとそうではありません。

単純に作業内容をまとめただけのマニュアルだと、作ってもなかなか浸透しなかったり、形骸化してしまう可能性もあります。

マニュアルを効果的に運用し、最大限のメリットを発揮するためには、使いやすさを意識したマニュアルづくりが大切です。

そこで今回は、使いやすいマニュアルを作るための5つのポイントをご紹介したいと思います。

使いやすいマニュアルのポイント1.業務の全体像をまとめ、階層化する

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マニュアルの作り方とは?おさえておきたい6つのステップでもお伝えしたように、マニュアルでは業務の全体像を把握できるようにすることが大切です。

特に業務経験の浅い従業員の場合、自分の業務内容は理解していても、それが他業務とどのように関連しているのかまでは理解できていないこともあります。

・全体の流れが一覧になっている
・業務が階層化されている
・分解された業務の詳細がわかりやすい

という3点を意識したマニュアルであれば、一つ一つの業務の目的や位置づけが明確になり、個人ではなく、全体の動きを見て作業を進められるようになります。

業務フロー図にまとめるなど、業務全体を見渡せるようにした上で、情報を整理していきましょう。

使いやすいマニュアルのポイント2.必要な情報をすぐに見つけられるように

ポイント1でもお伝えしたように、マニュアルは業務全体が把握できるように階層構造にしておくことが大切です。

しかし、掲載範囲が広くなると、どこにどの情報があるのか見つけにくくなってしまいがちです。

マニュアルは業務中にすぐに参照できる状態にしておくことが望ましく、以下の点に注意しましょう。

見出しや目次を整備する

見出しや目次のタイトルは、その章が何について記載されているのか一目でわかるように設定しましょう。

漠然としたタイトルではなく、具体的な内容が伝わるタイトルにするだけでも、検索性の高いマニュアルになります。

また、目次は業務フローや時系列に沿って設定するほか、「エラーが出たときは」「このようなトラブルが起きたときは」のように考えられる場面ごとに目次立てしておくと、より使いやすいマニュアルになります。

参照しやすい形式でマニュアルを作る

冊子形式のマニュアルの場合はインデックスをつけたり、PDF形式のマニュアルの場合はしおりをつけたり、マニュアル自体を参照しやすい形にすることも重要です。

図や写真を使用する

目次や見出しを整備して必要なページにたどりつけたとしても、そのページが文字ばかりだとそこから必要な情報を探し出すのに時間がかかってしまいます。

箇条書きや図を用いることで、直感的に理解しやすくなり、マニュアルに対する心理的なハードルも下がります。

文字だけでは伝わりにくい説明には、写真やイラストも積極的に活用しましょう。

使いやすいマニュアルのポイント3.判断基準や数値目標を設定する

業務の品質を上げるために、ただ漠然と「仕事の質を上げろ」と言っても、業務経験が浅い人にとってはどうすればいいのか、どのくらいが高品質と言えるのか、なかなか見当がつきません。

そこで、作業手順や作業方法に加え、品質の判断基準や数値目標を設定しておくことをおすすめします。

判断基準がわかれば業務経験の浅い人であってもセルフチェックがしやすくなり、「どうすればいいかわからない」という事態を減らすことができます。

また、客観的な指標が明記されることで作業者は明確な目的や成果を意識して作業できるようになり、品質の維持も期待できます。

使いやすいマニュアルのポイント4.チェックリストやトラブル処理などを記載する

ミスやトラブルを減らすために、作業手順や業務フロー以外にも、以下の項目をマニュアルに掲載するのがおすすめです。

チェックリスト

チェックリストを入れることによって抜け漏れの削減や業務の標準化につながります。

ただし、チェック項目が多すぎるとチェック自体が流れ作業になり、かえってミスを増やしてしまうおそれもあります。

チェックリストは優先度の高いものや必ずチェックできるものだけに絞るようにしましょう。

用語の意味

専門用語やあいまいな表現は、意味が理解できていなかったり、世代間や役職間で認識のずれが起こってしまう場合があります。

認識のずれが生じたまま業務を進めてしまうとミスやトラブルの原因になりますので、まずは用語の定義を統一することが重要です。

ノウハウ

業務を進めるにあたってのコツやノウハウなどもマニュアルに落とし込むことで業務品質の向上が期待できます。

これらは一人の従業員からのヒアリングだけでは不十分ですので、ノウハウを共有できる場を設けることが望ましいです。

トラブル処理

失敗事例やクレーム、「ヒヤリハット」なども共有しておくと再発防止につながります。

トラブル処理などの例外的な業務もあわせてまとめておくことで、イレギュラーな事態が発生したときにも迅速な対応が可能になります。

使いやすいマニュアルのポイント5.定期的に更新する

マニュアルは一度作って終わりではなく、定期的な見直しが重要です。

そのため、あらかじめ改訂や更新を見据えた構成・形式にしておくと、のちの修正がしやすくなります。

社内体制や業務内容の変化、法改正などがあった際に最新の情報が反映できるよう、更新頻度や見直し時期などのルールを設けておくのも大切です。

更新する際には、マニュアルに書かれている内容がいつの情報なのかわかるように更新日を明記し、古いマニュアルと新しいマニュアルが混在してしまうことのないようにバージョン管理を徹底しましょう。

また、頻繁に変更が発生しやすい業務は、すべてマニュアル化すると更新作業が大変になってしまい混乱を招くきっかけにもなりますので注意が必要です。

まとめ

冒頭でもお伝えした通り、マニュアルはただ作業の流れをまとめた冊子を作ればよいというものではありません。読み手の目線に立って、使いやすさを意識することが大切です。

「マニュアルに書いてあることを何度も聞かれる」
「せっかくマニュアルを作ったのに形骸化してしまった」

という方は、ぜひ今回ご紹介したポイントを参考にしてみてください。