2024年10月3日

使いやすいマニュアルとは?作成時に気をつけたい5つのポイント

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

これまでにも神楽坂編集室では、マニュアルの重要性についてさまざまな記事でご紹介してきました。
以下のように、マニュアルは多くのメリットが期待できるツールです。

1.人材育成・社員教育にかかる時間の短縮
2.属人化の解消
3.品質の維持
4.業務効率の向上

引用:なぜ必要?マニュアル作成で得られる4つのメリットとは

しかし、マニュアルを作るだけでは十分な効果は得られません。単に作業手順をまとめただけのマニュアルでは、なかなか社内に浸透しなかったり、形だけのものになってしまうこともあります。

マニュアルを最大限に活かすためには、ユーザーにとっての使いやすさを意識することが重要です。
そこで今回は、実践的で使いやすいマニュアルを作るための5つのポイントをご紹介いたします。

使いやすいマニュアルを作成するためのポイント

1.業務の全体像をまとめ、階層化する

マニュアルの作り方とは?おさえておきたい6つのステップ」の記事で紹介しているように、マニュアルにおいては業務全体の流れを把握できることが重要です。

特に業務経験の浅い従業員の場合、自分の担当業務は理解していても、それが他業務とどのように関連しているかまでは把握できていないケースが多いため、次の3つを意識したマニュアル作りを心がけましょう。

・業務延滞の流れを一目で把握できる
・各業務が階層構造になっている
・分解された業務の内容がわかりやすく整理されている

これにより、業務の全体像を理解したうえで作業を進めることができるため、各業務の目的や位置づけが明確になり、より効率的に業務を進行できます。フローチャートを活用すると、業務全体を俯瞰的に見ることができるためおすすめです。

▼フローチャート(フロー図)については、以下の記事で詳しく解説しています。

2.必要な情報をすぐに見つけられる構造にする

マニュアルは業務全体を階層的に整理することが大切ですが、掲載する内容が広範囲にわたると、どこにどの情報があるのか、必要な情報を見つけにくくなることがあります。

そこで、以下の点に注意して、使いやすい構造を意識しましょう。

見出しや目次を整理する

見出しや目次は、内容が一目で理解できるようにすることが重要です。曖昧な表現ではなく、具体的な内容が伝わるタイトルにするだけでも検索性が上がります。また、業務フローや時系列に沿った目次構成にするほか、「エラー時の対処法」「トラブル発生時の対応」など、場面ごとに整理しておくと、さらに使いやすいマニュアルになります。

参照しやすい形式で作成する

冊子の場合はインデックス、PDFならしおり機能などを活用し、必要な情報にすぐにアクセスできるよう、参照しやすい形式でマニュアルを作成することも重要です。

図や写真を活用する

目次や見出しを整備して必要なページにたどり着けたとしても、そのページが文字ばかりでは情報を探すのに時間がかかってしまいます。箇条書きや図、写真、イラストなどを使用することで、視覚的に理解しやすくなるとともに、マニュアルに対する心理的なハードルも下がるでしょう。

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3.判断基準や数値目標を設定する

「品質を上げる」と一言で言っても、具体的な基準がないと、経験の浅い従業員には何が「良い品質」なのか見当がつきません。

そこで、作業手順に加えて、品質を評価する判断基準や数値目標を設定しましょう。判断基準があれば、経験の浅い従業員であってもセルフチェックができるようになり、迷いや不安を軽減することができます。また、明確な基準があることで、作業者は目的や成果を意識して作業に取り組めるため、品質向上も期待できます。

4.チェックリストやトラブル対応を記載する

作業ミスやトラブルを防ぐためには、作業手順や業務フローに加えて、以下の内容をマニュアルに盛り込むのがおすすめです。

チェックリスト

チェックリストを掲載することで、作業の抜け漏れを防ぎ、業務の標準化につながります。ただし、項目が多すぎるとチェックが形骸化し、かえってミスを増やす原因になるおそれがあります。そのため、チェック項目は優先度の高いものや必ずチェックできるものに絞る必要があります。

用語の定義

専門用語や曖昧な表現は、意味が正しく理解されなかったり、人によって解釈が異なる場合があります。特に、世代や役職間で認識のずれが生じることがあり、これがミスやトラブルの原因となります。マニュアル内で使用する用語は、あらかじめ定義を統一しておくことが重要です。

ノウハウ

業務の効率化や品質向上に役立つノウハウも、マニュアルに記載しておくと効果的です。ただし、一人の担当者からのヒアリングだけでは不十分なため、全員がノウハウを共有できる場を設けることが望ましいでしょう。

トラブル対応

過去の失敗事例やクレーム対応、ヒヤリハットなどもマニュアルにまとめておくと、再発防止に役立ちます。イレギュラー発生時にも迅速に対応できるよう、あらかじめ例外的な業務もマニュアルに記載しておくとよいです。

5.定期的に更新する

マニュアルは一度作ったら終わりではなく、定期的な見直しや更新が必要です。そのため、初めから更新を前提とした構成や形式にしておくと、後々の修正がスムーズになります。

社内体制の変化や業務内容の変更、法改正など、常に最新の情報を反映できるよう、更新頻度や見直し時期などのルールを設けておくのもよいでしょう。

更新する際には、更新日を明記してバージョン管理を徹底し、古いマニュアルと新しいマニュアルが混在しないように注意しましょう。

また、頻繁に変更が生じる業務については、すべてをマニュアル化すると更新が煩雑になるため、あえてマニュアル化しないといった方法もあります。

まとめ

冒頭でも触れたように、マニュアルは単に業務フローをまとめるだけでなく、実際に使いやすいものにするための工夫が必要です。

「マニュアルに書いてあることを何度も質問される」
「せっかくマニュアルを作ったのにうまく活用されていない」

という方は、ぜひ今回ご紹介したポイントを参考にしてみてください。

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