2023年3月24日
公用文における数字・記号の書き方
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国や自治体、公共団体が出す文書のことを公用文と言い、公用文においては漢字とひらがなの使い分けのルールや、数字や記号の使い分けなど、さまざまな表記方法が定められています。
参考: 公用文作成の考え方(建議)
そこで今回は、公用文における数字の書き方や記号の使い方についてご紹介いたします。
▼公用文における漢字とひらがなの使い分けについては以下の記事でご紹介しています。
数字の書き方
算用数字の使い方
横書きでは、基本的に算用数字を使います。半角と全角の使用については厳密な規定はありませんが、使い分けについては文書の中で統一するようにしましょう。データや金額等を書く場合には半角数字を使います。
(例) 2023年1月1日 午後3時30分
1万以上の数字では「兆」「億」「万」を漢字で書きますが、「千」「百」は漢字は使わず算用数字で表記します。
(例) 2,000,000,000,000 → 2兆 1,000,000,000 → 10億 5,000,000 → 500万
4千 → 4,000 8百 → 800
4桁以上の大きな数字は、3桁ごとにコンマで区切るようにしますが、「兆」「億」「万」など漢字と算用数字をあわせて使う場合には、数字だけの場合とコンマの位置がずれることによる混乱を避けるためにもコンマは省略することが可能です。
(例) 8000円 → 8,000円 1500000人 → 1,500,000人
3億8,598万7,000円 → 3億8598万7000円
また、算用数字を使う場面で「○か月」「○か所」と書く際は、「箇」「カ」「ヶ」という表記は使用せず「3か月」「10か所」のようにひらがなで書きます。概数を示すために横書きでも漢数字を使用する場合には、「数十箇所」「何箇月」のように「箇」を使用します。
(例) 3ヶ月 → 3か月 6カ月間 → 6か月間 10箇所 → 10か所
数十か所 → 数十箇所
漢数字の使い方
縦書きでは、基本的に漢数字を使います。概数を表したり、熟語などに含まれる数字は横書きでも漢数字で表記します。
(例) 数10人 → 数十人 3、40枚 → 三、四十枚
また、「ひぃ、ふぅ、みぃ……」のように訓読みで読むものに関しても漢数字で書きます。
(例) 1つ → 一つ(ひとつ) 2人 → 二人(ふたり) 1日 → 一日(ついたち)
そのほかにも、熟語やことわざに含まれる数字、他の数字に置き換えられないものなども漢数字で表記します。
(例) 二者択一 三日坊主 三権分立 七福神
記号の書き方
句点・読点・中点の使い方
句点には「。」(マル)、読点には「、」(テン)を使います。横書きの場合には必要に応じて「,」(コンマ)を使うこともできます。学術的・専門的に必要な場合を除いて句点として「.」(ピリオド)は使いません。
並列する語や外来語、人名の区切りなどには「・」(ナカテン)を使います。
(例) 赤・青・緑 ケース・バイ・ケース マルコ・ポーロ
括弧の使い方
括弧は、基本的には()(丸括弧)と「」(かぎ括弧)を使います。そのほかの括弧はむやみに使わないようにし、使用する場合には文書内で用法を統一するようにしましょう。
括弧内が文章の場合には最後に句点を打ちますが、括弧内が引用や文章以外のときには打つ必要はありません。また、文末に括弧がある場合には、閉じた括弧の後にも句点を打ちます。
(例) 「今回は採用を見送る」との連絡があった。
延期していたイベントは、10月に開催が決定しました(詳細は後日発表します。)。
なお、一般的には括弧内の句点は省略されることが多く、文章が終わっていることが明確な場合には、括弧内の句点は省略することも可能です。
(例) 延期していたイベントは、10月に開催が決定しました(詳細は後日発表します)。
その他の記号の使い方
公用文においても、必要に応じて「!」「?」といった感嘆符や疑問符を使うことが認められています。その際、「!」や「?」の後に文章が続く場合は全角もしくは半角1字文のスペースを空けます。
その他の記号においても公用文で使用することは認められていますが、文書内での用法を統一し、むやみに使用しないようにしましょう。
(例) 「:」(コロン) 項目とその内容・説明等を区切る
「―」(ダッシュ) 文の流れを区切る
「‐」(ハイフン) 数字やローマ字を区切る
「~」(波形) 時間や距離などの起点と終点を表す
「…」(3点リーダー) 続きやつながりを表す
「*」(アスタリスク) 文中の語句の注釈を表す
「※」(米印) 補足事項の頭につけて目立たせる
「/」(スラッシュ) 文の区切りや対比を表す
繰り返しを表す記号は、同じ漢字の繰り返しを表す「々」のみを使います。ただし、「民主主義」といった複合語の切れ目で同じ漢字が繰り返される場合や、「一つ一つ」のように2字以上繰り返される場合には「々」は使わずにそのまま表記します。
(例) 人々 国々 民主主義 一つ一つ 一人一人 知らず知らず
まとめ
今回は、公用文における数字・記号の書き方についてご紹介しました。
数字は全角と半角、算用数字と漢数字などさまざまな表記が可能なため、文書内でルールを決めておくと表記ゆれの防止につながります。
また、記号は多用しすぎると用法が曖昧になり読者が混乱する原因になってしまいますので、用法を統一し、多用するのは避けましょう。
公用文だけでなく日常の文書作成の指標にもなりますので、ぜひ参考にしてみてください。