2025年10月2日
ピクトグラムとは?歴史や作り方、無料素材サイトをご紹介
目次 ▼
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ピクトグラムとは
ピクトグラムとは、言語に依存せず、絵や図を用いて情報を伝える記号のことです。公共施設などで広く使用されており、代表的な例としては非常口のマークやトイレのマークが挙げられます。これらのピクトグラムは、文字が読めなくても意味を直感的に理解できるように設計されており、多くの場合、視認性の高い2色で構成されています。
ピクトグラムと似たものに「アイコン」がありますが、両者にはいくつかの違いがあります。ピクトグラムは基本的に2色で表現されているのに対し、アイコンは複数の色を使ったカラフルなものが多い点が特徴です。また、ピクトグラムは交通機関や公共施設で使われるのが一般的ですが、アイコンはWebサイトやアプリ、ロゴなどデジタル分野で多く利用されています。
ピクトグラムの歴史
ピクトグラムの起源は、1920年代にオーストリアの哲学者であり社会・経済学者であったオットー・ノイラートが考案した「アイソタイプ(ISOTYPE)」という記号であると言われています。
ノイラートは「社会経済博物館」において、教育を十分に受けていない人々にも社会や経済の変化を理解してもらうため、統計資料を図式化して視覚的に表現しました。これが「アイソタイプ」であり、 「International System Of TYpographic Picture Education」 の略称でもあります。ノイラートは、図を使った教育が国際的な共通理解を築くとして、その重要性を提供しました。
ピクトグラムとオリンピック
2021年の東京オリンピック開会式で、ピクトグラムのパフォーマンスが行われ話題になりましたが、現在のようなピクトグラムは1964年に行われた東京オリンピックが発祥とされています。
当時の日本は、標識や案内の多くが外国語に対応していませんでした。オリンピックで来日する外国人に情報を正しく伝えるため、美術評論家の勝見氏を中心に、競技を表す20種類のピクトグラムと、施設を表す39種類のピクトグラムが考案されました。その後、これらのピクトグラムは、世界的に普及されることを目指して著作権が放棄され、世界中に広まっていったと言われています。
そして、57年の時を経て、2021年の東京オリンピックでは新たに33種目・50種類のピクトグラムが作成され、時代に合わせたデザインとして再び注目を集めました。
ピクトグラムのメリット
視認性が高く、一目で情報が伝わる
ピクトグラムは、文字だけで表現するよりも素早く情報を伝えられるというメリットがあります。シンプルで視認性が高いため、道路標識や非常口の案内など、遠くからでも直感的に理解できるシーンに適しています。また、赤=警告、緑=安全といった色の意味を組み合わせることで、より伝わりやすくなります。
限られたスペースでも有効
文字を並べると情報量が多くなりがちですが、ピクトグラムは文字を使用しないため、限られたスペースで情報を伝えたいときにも最適です。文字が視認しにくい場合であっても、ピクトグラムを活用すれば簡潔に情報を伝えることができるでしょう。
言語や年齢を超えて伝わる
ピクトグラムは言葉を使わず視覚的に表現するため、言語・国籍・年齢を問わず多くの人に理解されやすいというメリットもあります。
ただし、国や文化によっては異なる解釈をされる場合もあるため注意が必要です。国際利用を前提とする場合は、ISO規格に準拠したピクトグラムを使用することをおすすめします。
ISOとは、「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」の略称で、スイスのジュネーブに本部を置く非政府組織です。この機構は、国際的な基準となる規格を制定し、各国での基準のばらつきをなくす役割を担っています。例えば、一つの製品に対する安全基準が国ごとに異なっていると、輸出入時に問題が生じたり、ユーザーの安全性が脅かされたりするおそれがあります。
そこで、こうした課題を解決すべく、世界共通の基準を設けるために「ISO規格」という国際的な規格が制定されているのです。
引用: 実は世界共通!マニュアルや取説で使われる「禁止・警告・指示」マークの意味

ピクトグラムの作成方法
ピクトグラムを作成する方法は大きく2つあります。自分でデザインするか、素材サイトからダウンロードする方法です。
自分でピクトグラムを作成する場合は、まず伝えたい情報を記号化・視覚化し、余分な要素を削ぎ落としていきます。「丸」「角丸四角」「線」といった基本形状をうまく組み合わせて、できるだけシンプルでわかりやすいデザインを目指しましょう。
ピクトグラムの作成には、主に以下のようなソフトがよく使用されます。
・Adobe illustrator
・Microsoft PowerPoint
・PICTOGRAMMING
ピクトグラムを作成する際には、「誰が見ても一目で理解できるか」を意識することが重要です。視認性の高い色を使用したり、できるだけ単純化することを心がけましょう。複数のピクトグラムを作成する場合には、サイズや色味、デザインに統一感を持たせることも大切です。
無料で使えるピクトグラム素材サイト
ここからは、無料でピクトグラム素材をダウンロードできる4つのサイトをご紹介します。素材をダウンロードして使用する際には、商用利用やクレジット表記など、各サイトの利用規約を必ず確認するようにしましょう。
ヒューマンピクトグラム2.0

「ヒューマンピクトグラム2.0」は、数多くのバリエーションを取りそろえたピクトグラム素材サイトです。一般的なピクトグラムとは一線を画し、遊び心のあるユニークなデザインやカジュアルな雰囲気の素材が充実しています。
ダウンロード形式は、ai、png、jpgに対応しています。会員登録不要でダウンロードでき、商用利用も可能です。
ピクトアーツ

「ピクトアーツ」は、モノクロを基調としたピクトグラムが無料でダウンロードできるサイトです。デザインはコミカルで親しみやすいものから、ビジネスシーンなどで幅広く使える汎用性の高いものまで、多彩なラインナップが揃っています。ダウンロード形式はpngのみですが、会員登録やクレジット表記は不要で、商用利用も可能です。
さらにこのサイトでは、ピクトグラムのほかにも、3Dイラストやビジネスアイコン、動物イラストなど、多様な素材が提供されており、さまざまな用途に活用できます。
SILHOUETTE ILLUST

URL:https://www.silhouette-illust.com/
「SILHOUETTE ILLUST」では、10,000点以上という膨大な数のモノクロピクトグラムを無料でダウンロードすることができます。ファイル形式はai、png、jpgに対応しており、一つのZIPファイルにまとめられているため、ワンクリックで手軽にダウンロードすることができます。
会員登録やクレジット表記は不要で、商用利用することができます。
まとめ
今回は、ピクトグラムの歴史や作成方法、そのメリットなどを中心にご紹介しました。
ピクトグラムはシンプルで視認性が高いため、公共施設や交通機関はもちろん、デザインやプレゼン資料、マニュアルなど幅広い場面で効果的に活用することができます。
上手に活用することで、文字だけでは伝わりにくい情報を、直感的に伝えることが可能になります。ぜひ参考にしてみてください。
