2016年1月15日
印刷会社が今後提供していく18種類の業務
目次 ▼
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印刷会社が将来行うであろう業務とは
将来の印刷業界の市場は確実に縮小していきます。
以前お伝えしましたが、印刷業界の市場予測は以下のようにされています。
参考:
株式会社ブレイン・リサーチ&マーケティング:印刷産業 10年分析 (1/3)平成34年には、市場規模が4兆円にまで縮小すると予測されています。このような予測の正確性がどれほどのものかはわかりませんが、印刷業界にいると、単純な紙の印刷物の縮小は肌で感じます。
このグラフを見てわかる特徴は、利益、人件費が大きく減っている割に、原材料費が減っていません。
つまり、業界全体の人を減らして効率化を図りつつ、利益圧縮もしていかなければいけない状況だということです。
ところが、原材料費が同じ比率で落ちることはありません。これは、かなり厳しいグラフですが、現実です。
このような業界動向の中で、私たち印刷業界はすでに新しいことに取り組み始めています。
もちろん全ての状況がすぐに変わるわけではないため、一般の方は気付きにくいことですが、印刷会社はこれまで業務で培ってきた知見を基に、次の4つの方向性を目指して進んでいます。
印刷業界が目指す4つのビジネスモデル形成
1.デジタル化
2.高機能化
3.ソリューション化
4.新しいビジネスモデル形成
さて、「印刷業界が目指す4つのビジネスモデル形成」と言っても、これまで市場に全くないお仕事ではありません。
今回は、印刷業界がこれまでの知見を活かして取り組んでいる業務をざざざっとご紹介していきたいと思います。
印刷業界がこれから取り組む18業務
長年印刷業を営んでいると、クライアントに対して様々なかかわり方をしていることに気が付きます。
その気付きは全て、以下のように将来の新しい業務につながる可能性があります。
マーケティングプランナー業務
商業印刷物を軸にした販売促進に有効なマーケティング企画を提案していく事業です。商品特性、市場分析、販促の実施、販促結果の評価までをプランニングします。
デジタルコンテンツ提供
社内で作成したデータ、または許可を得たクライアントデータをデータベースで一括管理し、クライアントに提供する業務、または一括管理できるデータベースシステムをASPで提供する業務です。
クロスメディアソリューション業務
一括管理しているクライアントデータを印刷物、WEBメディア、広告メディアなどの多様な媒体に提供するためのサポート業務です。
編集プロダクション業務
出版印刷物の発刊における企画・アイデア出し、編集会議やワークフローの運用などの上流工程を請け負う業務です。
クリエイティブソリューション業務
DTPなどのグラフィックデザインの専門的知識、文字処理、画像処理などの技術、情報処理のワークフローをコンサルティング商品として他社に提供していく業務です。
データプロセッシング業務
販促における結果や顧客情報などをデータベースで一括管理し、各種データの表作成、グラフ化など、ビジュアルに適したデータプリントサービスを行う業務です。
製本コーディネート業務
クライアントの製本ニーズに合わせて、最適な製本会社を仲介する業務です。製本における相談から仕様設計などのプランニング、データ提供、広告宣伝業務を一括請負できる体制を整えます。
製本受託業務
印刷知識、製本知識を活かして、出版社や出版印刷を生業とする印刷会社の営業アウトソーシングを請け負う業務です。
プリントショップ業務
地元の事業所、商店、個人から小モノ印刷物やパーソナル印刷物を受注し、地域密着型の印刷サービスを実施します。
印刷コーディネート業務
今後、自社でオンデマンド印刷設備を抱える出版社やデザイン会社の増加を見越して、印刷物の企画相談、仕様設計、ワークフロー、発注手配、品質保証、納品までをコーディネート提供する業務です。
印刷プロダクション業務
一連の印刷工程に特化し、同業他社から大量印刷業務、高級印刷業務、特殊印刷業務を受注する印刷専門会社を確立します。
印刷営業(ネット印刷)業務
自社には必要最低限の印刷設備しかおかず、ネットを利用して、低コスト印刷の受注専門会社を確立します。
参考:
なぜネット激安印刷は可能?印刷通販のメリットデメリット
経営ソリューション業務
印刷物の販促が主となるスーパー、飲食店、理美容室、治療院などの店舗業に対して、クライアントが課題とする経営戦略の構築に特化したコンサルティング業務を行います。
販売ソリューション業務
印刷物の販促が主となるスーパー、飲食店、理美容室、治療院などの店舗業に対して、クライアントが課題とする販促戦略の構築、マーケティングに特化したコンサルティング業務を行います。
自社商品のネット展開
チラシ、DM、ノベルティなどの単体商品の中で、フルフィルメントで行える業務をネット上のサービスとして全国に事業展開していきます。
新テクノロジー業務
3Dプリンターや電子書籍など、まだ市場規模の小さい新しいテクノロジーを業務展開していきます。
川下フルフィルメント業務
印刷後に付帯する各種のサービスに加え、物流、製品保管、在庫管理、発送代行、購買履歴管理などの印刷後の業務をフルフィルメントで提供して、付加価値を高めていく業務です。
ブランディング・知財開発業務
デザイナーやクリエイターが作成したキャラクターやグラフィックを基に、商品開発を行い、クライアントのブランディングを高めていく業務です。
印刷会社が今後提供する業務まとめ
今後、印刷会社が持っている知見を活かした業務展開をするならば、このような業務であろうというものをピックアップしてみました。
もちろん、上記の中には私たちが取り組んでいる業務もありますし、同業他社が取り組んでいる業務もあります。
ここには挙げませんでしたが、営業が強い会社であれば、広告代理業をメインに行う会社もありますし、グラッフィックが強ければ、様々なコンペに参加するデザイン業がメインになる会社もあります。
こうやって見直してみると、如何にこれまで印刷業がクライアントに密着した事業体であったかということがわかります。
ところが、今後はクライアントにより密着するのは印刷業ではなく、システムやネット上での販促を提供するIT業だろうと予測します。
そのような流れの中でも、生き残る印刷会社は業務の種類を増やし、少しずつアメーバのように変容し、生き残っていくのでしょう。
様々な業界の垣根を超えた複合企業の時代がやってくるのは、意外と早いかもしれません。