2015年12月2日

強み弱みを把握するSWOT分析とは?分析方法と事例

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

事業成功のためのSWOT分析

あなたはSWOT分析をご存知ですか。

私は就職活動のときに自分の強みと弱みを分析する方法として、SWOT分析を知りました。弱みを理解すれば補強ポイントがわかります。自分を知ることで、あらゆる戦略が立てられるようになります。

もちろん企業においても、事業のマーケティング戦略を導きだすためにSWOT分析が用いられます。

さらに、SWOT分析を行うことにより、3C分析のCompany(自社)を詳しく知ることにもつながります。

自社分析では、まず、売上高や市場シェア、収益率、技術力、人的資源、付加価値機能などを分析します。

これらの自社の強み、商品の強みは、SWOT分析を用います。

参考:市場、競合、自社の関係性と3C分析の実行方法

しかし、闇雲に項目だけを並べても、戦略策定に結びつかなければ意味がありません。では、どうすれば効果的なSWOT分析を行えるのでしょうか。

今回は、SWOT分析の意味とSWOT分析を行う方法についてお話ししたいと思います。

SWOT分析とは

SWOT分析は、強みと弱みを以下の内部環境(内的要因)と外部環境(外的要因)、それぞれで導き出すことからスタートします。

強み(Strengths)
弱み(Weaknesses)
機会(Opportunities)
脅威(Threats)

SWOT分析の要素1.内的要因

強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)は、内的要因に分類される要素のことで、自社でコントロールできる要因です。

・強み(Strengths)
目標達成に貢献する組織(個人)の要因

・弱み(Weaknesses)
目標達成の傷害となる組織(個人)の要因

内的要因には、人材、財務などの他に、4P|Production(商品)、Price(価格)、Promotion(販売促進)、Place(立地・物流)が含まれます。

内的要因での強み、弱みは一元的なものではありません。ある目標にとっての強みが、別の目標にとっての弱みとなる可能性があります。

SWOT分析の要素2.外的要因

機会(Opportunities)と脅威(Threats)は、外的要因に分類される要素のことで、自社努力では変えることができない要因です。

・機会(Opportunities)
目標達成に貢献する外部の要因

・脅威(Threats)
目標達成の障害となる外部の要因

外的要因には、市場動向、技術革新、法律、文化の変化などが含まれます。外的要因は独力では変えようがないため、その環境でいかに行動するかを考えていくことになります。

SWOT分析の事例

SWOT分析の事例として、以下のサイトから、日本ハムのモデルをご紹介します。紹介事例や下記のサイトを参考に、SWOTの出し方を理解しましょう。

参考:
SWOT分析の例を豊富に掲載:上場企業のSWOT分析事例集-東証全業種の代表的企業のSWOT分析を公開

SWOT

S(強み)
・ハム、ソーセージのトップ企業である。
・飼育から加工・流通・販売までの一貫体制を保有している。
・営業力に優位性がある(全国に販売会社を展開している)。
・北海道日本ハムファイターズを保有している。

W(弱み)
・多角化戦略として展開している水産・乳製品事業の赤字が継続している。
・子会社が牛肉偽装事件をおこした過去がある。
・成熟産業である。

O(機会)
・消費者の国産志向が強まっている。
・豚・鶏相場が上昇している。
・世界的な食料需要は増大している。

T(脅威)
・消費の停滞、消費者の低価格志向を背景にしたデフレが進展している。
・食肉相場の低迷が長期化している。
・人口減少と少子高齢化による国内マーケットの縮小に直面している。
・中国産冷凍ギョーザ事件などの、食の安全を脅かす事件・事故が多発している。

SWOT分析の考え方と分析方法

SWOT分析は、いくつかの段階を踏んで行います。ステップごとに見ていきましょう。

SWOT分析のステップ1.分け方を決める

よくある話ですがSWOT分析では、S、W、O、Tの洗い出しを考えすぎると、時間と労力がかかってしまいます。また、思いついたものから並べるだけでは内容が偏ってしまい、客観的な分析ができません。

そこで以下を参考にして、内的要因、外的要因それぞれで項目を洗い出します。

内的要因で洗い出す項目|
資源、顧客サービス、効率性、インフラ、品質、価格、材料、経営管理、輸送時間、ブランド、環境など

外的要因で洗い出す項目|
政治、市場トレンド、株主の期待、競合他社の行為、科学技術など

SWOT分析は、PEST分析、5F分析、PLC、ポジショニングなどのフレームワークを用いながら、モレやダブリのない項目を考えましょう。

マクロ環境の分析にはPEST分析、競合分析ではバリューチェーンや7S、VRIOといったフレームワークが便利です。

この辺りのフレームワークはまた別の機会にご説明します。

SWOT分析のステップ2.仮説を立てる

仮説を立てる→検証する、という流れで、SWOT分析として調べる対象の要因を絞ります。

仮説は一つでなく、いくつか考えてみましょう。それまで常識だったことを疑って、新しい仮説を導くことも必要な場合があります。

SWOT分析のステップ3.外的要因の分析

仮説を立てたら、外的要因から分析していきます。外的要因を分析してはじめて内部のことが分かります。

なぜなら、政治、市場トレンド、競合他社の動向などによって内的要因が変化するためです。つまり、外的要因の影響を受けた結果が、現在の内的要因(内部環境)だからです。

SWOT分析のステップ4.内的要因の分析

外的要因の分析が終わったら、内部環境を、競合企業との相対評価の中で分析していきます。

この時主観的な分析はせず、事実やデータを用いて客観的な分析を行うよう心がけましょう。

SWOT分析のステップ5.分析結果の判断

4つの観点からの分析を行ったら、目標が達成可能かどうかを考えます。目標達成が不可能だと判断したら、別の目標を元に再度SWOT分析をやり直す必要があります。

目標達成が可能だと判断したら、SWOT分析によって明確にした強みや機会をどう活かし、弱みや脅威をどうに乗り越えるのかを考えることで、より創造的な戦略策定につなげることができます。

強み弱みを把握するSWOT分析まとめ

SWOT分析は、現状を把握して将来の戦略を策定するための重要なフレームワークですが、仮説をうまく立てられなければ項目を洗い出した時点で面倒になってしまい、戦略策定に至りません。

これを防ぐためには、SWOT項目を洗い出す前にどのレベルの話を分析したいのかを考えなければいけません。

つまり、ある商品に対するSWOTなのか、ある部署に対するSWOTなのか、それとも自社そのものに対するSWOTなのかという取り決めです。

また、抽出したSWOT項目は安易に除外せず、1つずつ必要な要素かどうかを検討して明確な状況をあらわすためのわかりやすい言葉に変えていく必要があります。

SWOT項目自体は、状況を説明するための単なる要素でしかないため、洗い出した項目を第三者目線でうまく活用していけるように、何度もトライして慣れていくと、仮説設計や戦略策定も効果的に行えるようになります。

他のマーケティングフレームワーク解説は以下を参考にしてみてください。

10分でわかるマーケティングミックスの解説と4Pの成功事例