2023年2月10日

マニュアルの改訂手順や改訂履歴の書き方とは?

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

マニュアルの改訂はなぜ必要か

マニュアルは、一度作成した後も定期的に改訂する必要があります。

マニュアルは作成に時間がかかるため、改訂を面倒に感じてしまう方も多いかもしれませんが、マニュアルを改訂していないと業務にさまざまな影響が生じます。

ミスが起こりやすくなる

業務フローやルールに変更があったにもかかわらずマニュアルにその情報が反映されていない場合、ミスやトラブルの原因になります。

ミスが多発することによって業務品質の低下や顧客からの信頼を失う恐れもありますし、マニュアル通りに作業をしたことでミスが生まれてしまうという状況によって、従業員のモチベーションの低下にもつながります。

マニュアルが形骸化する

マニュアルの情報がどんどん古くなっていくと実際の業務との間にずれが生じてしまい、従業員の間でも「マニュアルを見ても意味がない」という認識が生まれてしまいます。

マニュアルを見ない状況が当たり前になり、マニュアル自体が使われずに形骸化してしまうことが考えられます。

業務効率の低下

マニュアルに記載されている情報が更新されていないと、何が正しい情報なのかがわからなくなり、作業を中断して周りの人に確認したり、迷ったりする時間が生まれ、業務効率の低下につながります。

また、マニュアル内の表現や写真などが古いままだと読み手にとって理解しにくかったり、勘違いが生まれてしまう可能性もあります。

マニュアル制作.com_事例_バナー

マニュアルを改訂するタイミング

マニュアルを改訂するタイミングとしては大きく分けて2つあります。

変更点や修正点が発生するたびに改訂する

業務内容に変更や修正が生じたらすぐに改訂することで、マニュアルには常に最新の情報が反映され、正しい情報がすぐにわかるようになります。

ただ、規模の大きいマニュアルの場合は、関係各所への確認や再配布、差し替えなどに手間と時間がかかりますし、頻繁に改訂することでかえって混乱を招いたり、周知されなくなる可能性もあるので注意が必要です。

紙のマニュアルの場合には印刷し直す必要があり、その分コストもかかってしまうため、改訂の際にはマニュアルの形式も考慮するようにしましょう。

また、改訂の頻度が多いと特に、どこがどのように改訂されたのか、バージョンの管理がしにくくなってしまいます。

この後詳しくご説明しますが、改訂する際には改訂履歴を作成し、「いつ」「どの部分が」「どのように改訂されたか」が明確にわかるように記録を残しておくことが大切です。

業務に直接影響のある大きな変更点が生じた場合はすぐに改訂することが望ましいですが、業務に支障をきたさない程度の変更や修正であれば一旦ストックし、ある程度溜まったタイミングでまとめて改訂するというケースもあります。

定期的な改訂のタイミングを決める

先ほどお伝えした通り、変更が発生したり誤字脱字を見つけた際は、業務に支障をきたさない程度あればその都度改訂するのではなく、決まった改訂のタイミングにまとめて修正するケースもあります。

マニュアルの改訂は四半期ごとや半年ごとに行うのが理想的ですが、最低でも一年に一回は見直すようにしましょう。

業務内容や対象者によって異なりますが、マニュアルを改訂するタイミングとして多いのは新年度です。

新年度は組織改編が行われたり業務の追加や変更などが発生しやすい時期のため、最新の情報を反映しやすく、新入社員への周知としても利用しやすいタイミングです。

ただ、新年度に改訂する場合、年度初めということもあり、マニュアルの改訂作業になかなか時間がとれなかったり、他部署へのヒアリングや上長への確認に時間がかかることが予想されます。

職場の繁忙期や年度の区切りなどにあわせて、最適な改訂タイミングを事前に決めておきましょう。

また、トラブルなく運用する!押さえておくべきマニュアル改訂のポイントでもご紹介しましたが、最初にマニュアルを作成する段階で、改訂を取りまとめる担当者やルールなども決めておくとスムーズです。

マニュアル制作はチーム体制で取り組むことが多いですが、改訂の際も同様にチームを組んで複数人で作業を行うことでスムーズに進みやすくなります。

「どのくらいの頻度でマニュアルをチェックするのか」「誰が情報を集約し改訂作業を行うのか」「どのタイミングで改訂を行うのか」など、担当者やルールを明確にしておくことで、修正部分の抜け漏れや情報の錯綜といったリスクの軽減につながります。

引用:トラブルなく運用する!押さえておくべきマニュアル改訂のポイント

マニュアルの規模やボリュームにもよりますが、改訂作業にかかる期間としては最低でも1か月は想定しておくとよいでしょう。

マニュアル作成のスケジュール管理や進捗管理には、以下の記事でご紹介しているような無料のテンプレートを利用するのもおすすめです。

マニュアルの改訂方法

ここまで改訂のタイミングについてご紹介しましたが、ここからは具体的な改訂方法についてご紹介していきます。

1.改訂箇所をまとめる

まずは改訂する箇所を洗い出してまとめていきます。

業務フローの変更や追加項目といった大きな変更点のほかに、前回作成したマニュアルに不備やわかりにくい点、実際の作業とのずれなどがなかったかどうか現場にヒアリングしましょう。

現場からのフィードバックが集まったら、具体的にどこをどのように改訂するかを検討していきます。

また、あとからバラバラと改訂箇所が出てきてしまわないよう、元のマニュアルを見直し、誤字・脱字などがないかどうかもチェックします。

ここで気を付けたいのは、1か所修正したことによって他の箇所にも影響がないかどうかを確認することです。

例えば、第1章と第2章の間に章を一つ追加する場合、今まで第2章となっていたものを第3章と修正するだけでなく、他の部分で「第2章を参照」のように記載されている部分がないかどうかをチェックします。

章やページ数など、参照元に修正漏れがあるとミスの原因になるため、目次も含めて細かく確認していきましょう。WordやExcelなどでは検索機能を使うのも一つの方法です。

2.改訂作業・改訂履歴の作成

改訂する部分が集約できたら改訂作業に入っていきます。

ここでは該当部分を変更・修正するだけでなく、改訂履歴の作成が非常に重要です。

改訂履歴の書き方

改訂履歴とは、マニュアルの版数や改訂箇所などをまとめた一覧のことです。
版数とは、出版物の改訂のバージョンのことで、マニュアルの場合は「第●版」と表記することが多いです。

改訂履歴に掲載する内容としては、

・版数
・発行日
・改訂箇所(章、節、項、ページなど)
・改訂内容

などが挙げられますが、今後マニュアルの担当者が変わった際に改訂の経緯がわかるよう、なぜこの改訂を行ったのかという理由も記載しておくとよいでしょう。

改訂履歴は扉や目次の後に表形式で入れることが多いですが、改訂箇所が多い場合や解説が必要な場合は「改訂序文」や「改訂注」、「改訂索引」も作成します。表紙にも忘れずに「第●版」と記載しましょう。

主な記載内容主な掲載箇所主な形式
改訂履歴 版数、改訂箇所、改訂内容、発行日 扉や目次の後
改訂序文改訂の理由、主な改訂内容 表紙の次のページ 文章
改訂注改訂部分の見出し、改訂箇所、簡単な改訂理由 本文中の該当箇所 注釈
改訂索引改訂注の見出し 巻末 索引
改訂序文_例
改訂履歴_例
改訂注・改訂索引_例

まとめ

今回は、マニュアルの改訂方法と改訂履歴の書き方についてご紹介しました。

マニュアルは一度作って終わりではなく、定期的にマニュアルを見直すことによって、より実務に即した使いやすいマニュアルになり、得られる効果も高まります。

マニュアルは会社や部署などによって独自性の高いものであるため、今回ご紹介した手順や方法が必ずしもすべてのマニュアルに当てはまるわけではありませんが、改訂のタイミングやルールなどはあらかじめ決めておくとスムーズです。

マニュアルを改訂する際のポイントについては以下の記事も参考にしてください。

マニュアル制作.com_トップ_バナー