2016年6月21日

業界団体、一般企業、官公庁…それぞれの広報誌の役割と作り方

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広報誌の目的とは?

広報誌とは、企業などが顧客や市場に向けて発行・制作される小冊子のことです。

広報誌は、自社の活動や社会貢献につながる行為などを広く伝えて、知ってもらうために発行される小冊子です。

参考:
社内誌、会員誌、広報誌の違いと特徴による使い分け

企業や業界団体に限らず、行政や自治体や学校、様々な団体が広報誌を発行しています。

例えば新聞折込などを介して各家庭に配布されている市区町村が定期発行している冊子も、いわゆる広報誌の一部です。

ちなみに、「広報”紙”」とある場合は、タブロイド版などの新聞紙型を指します。PTAや自治体の広報誌はこのタイプが多いです。(当記事では「広報誌」と統一します。)

ところで、広報誌の役割とはいったい何でしょうか?いったい何を書いたらよいのでしょうか?

定番コンテンツもあることはあるのですが、広報誌は決して内容が決まっているわけではありません。

内容が決まっているわけではないため、読者対象に誰を設定しているかで、コンテンツが変わってきます。

参考:
社内誌、会員誌、広報誌の違いと特徴による使い分け

読者対象は広報誌によって違い、一般向けのものもあれば、会員企業のみ会員のみという場合もあります。

そこで今回は、業界団体や、官公庁、一般企業それぞれの広報誌の役割と内容、作り方についてご紹介したいと思います。

広報誌の役割とは

広報誌の役割とは、企業や団体、自治体の取組み、文化、社会活動を広く伝えることです。

商品やサービスを通しては知ることができない企業の一面、哲学、社会活動などをお客様に知ってもらうことで、その団体や企業のファンになってもらい、イメージの向上、ブランディングにつなげていくものです。

広報誌は、売上に直結するものではないため、近年は広報誌を廃止しWebに移行する動きもあります。

しかし、お年寄りから子供まで手にとることのできる広報誌が担う役割は、まだまだ大きいです。

広報誌の内容1.業界団体の場合

業界団体とは、企業や団体または特定の業務に携わる個人(医者や弁護士)を会員として構成される非営利団体のことです。

業界団体の広報誌のメインコンテンツは、会員企業の紹介です。併せて新技術・新製品の紹介なども行います。

また業界の海外での動向、研究論文の解説、書評など専門的な内容が多いのもこのような広報誌の大きな特徴です。

そのほか、特定のテーマ(例えば「女性の活躍」「マイナンバー対応」など)に沿って、会員企業ごとの取組を横断的に掲載することもあります。

広報誌の内容2.一般企業の場合

一般企業の広報誌は、企業によってコンテンツや誌面に様々な特徴があり、特に特集は業界や企業の独自性が見えます。

ここでは一般企業広報誌の定番コンテンツをご紹介しましょう。

一般企業広報誌の内容1.CSR活動の紹介

CSRとはCorporate Social Responsibilityの略で、「企業の社会的責任」という意味です。

CSR活動の紹介は、広報誌の内容としては定番ですし、無いほうが珍しいくらいです。

CSRといえば環境への取組みや地域貢献がよくあるコンテンツですが、最近では社内の個人情報保護やメディアリテラシー対策(ソーシャルメディア・ポリシーの徹底)など、コンプライアンス問題への取組みを紹介する記事も増えています。

一般企業広報誌の内容2.社員・部署紹介

企業の顔でもある社員を紹介する記事です。

社員の仕事ぶりや、趣味や特技などのプライベートな話題も紹介することで、企業に対して親しみを感じて貰おうという意図があります。

一般企業広報誌の内容3.消費者の生活に関わる記事

BtoC企業の場合、それが消費者の生活に密接に関わる業界であれば、その生活に寄り添った記事が多いですし、それがメインの特集になることもあります。

例えば飲食業界やトイレタリー業界(家庭用品)の広報誌であれば「食中毒の予防」「歯磨き」「ノロウイルス予防」のような記事を掲載することもあるでしょう。

また、鉄道会社であれば、沿線にある有名スポットやお店を紹介している記事も多いですね。

BtoB企業の場合、メーカーなどであれば、自社が開発している製品が日常のどんなところで役立っているかを紹介することで、消費者の生活への関わりをアピールします。

一般企業広報誌の内容4.著名人インタビュー

CMや広告に起用している著名人や、スポンサーになっている映画や舞台など出演者や監督、演出家へのインタビューを掲載することも多く見られます。

著名人のインタビュー記事は、多くの人に広報誌を手にとって貰うキッカケにもなるため、強力なコンテンツと言えます。

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広報誌の内容3.自治体・官公庁の場合

自治体の広報誌は、新聞折込や役場・役所、官公庁や郵便局などの施設で配布されています。

「誰も読まない」「単なるお知らせだけになっている」と、存在意義が問われている自治体の広報誌ですが、最近では「読み手の満足」を意識した、雑誌並の広報誌も多く発行されるようになりました。

ここでは自治体広報誌の一般的な内容をご紹介します。

自治体広報誌の内容1.自治体独自の特集・テーマ

自治体による新たな取組みや地元の産業に関する記事、大規模な行事や催事の紹介、抱える問題の提起(人口減・少子化・産業の衰退、環境汚染など)、防災などをテーマに特集を組みます。

自治体の規模や力の入れ方などにもよりますが、読み応えのある一般企業の広報誌や雑誌並の特集を組み、力を入れる自治体もあります。

自治体広報誌の内容2.住民や地元企業の紹介

国内外の各種ジャンルで活躍している出身者や地元住民、成長著しい地元企業を紹介するコンテンツです。これも自治体広報誌の定番です。

自治体広報誌の内容3.暮らしに関するお知らせ

暮らしに関するお知らせは、定番コンテンツというより必須コンテンツといえます。

福祉、催し(カルチャースクールなど)、募集、制度、人権問題、税金、相談、教育、行事カレンダーなどに関連する情報を掲載します。

自治体広報誌の内容4.行政報告

人口の増減、各種計画、条例、財政、予算案、政策、指定管理者の募集など、行政に関する報告や紹介を行うのも、広報誌の大きな役割のひとつです。

広報誌の役割と内容 まとめ

自治体や官公庁などを除けば、広報誌の構成や企画に特に決まりはありません。

逆に言えば、企業独自の色を打ち出しやすいということです。

広報誌は会費制である業界団体を除けば、雑誌のようにお金を取るものでもなく殆どが無料ですし、効果が見えにくいものです。

しかし、消費者の生活に直接関わりがない製品を広くアピールする効果もありますし、CSR活動や社会貢献は製品やサービスを介してでは消費者に伝わりにくいものです。

広報誌が持つ役割と対象を、今一度改めて見なおしてはいかがでしょうか?

参考:
経済広報センター

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