2024年8月2日

誤字脱字を防ぐ9つのチェックポイントとは?原因と対策を解説

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

文章を書く際、どんなに気を付けていても誤字脱字はつきものです。発行後に誤字脱字が見つかったり、読者に指摘されたという経験がある方も多いのではないでしょうか?

誤字脱字があると、読者にとって読みにくさを感じさせるだけでなく、媒体に対する信頼を損なうおそれもあります。

そこで今回は、誤字脱字の原因と、チェックする際のポイントについてご紹介いたします。

誤字脱字の種類

「誤字脱字」と一括りにされるケースが多いですが、「誤字」と「脱字」はそれぞれ異なる意味を持っています。

「誤字」は、その名のとおり、誤った文字を使用することを指します。例えば、誤った漢字の使用や固有名詞の表記間違い、デジタルデバイスによる変換ミスなどが挙げられます。

一方で、「脱字」とは、文章中で必要な文字が抜け落ちてしまっている状態を指します。送り仮名や助詞の抜け漏れが脱字の典型例です。

また、誤字脱字とあわせて「衍字(えんじ)」という言葉もよく使われますが、「衍字」とは、文章中に不要な文字が含まれている状態を指します。推敲の過程で余計な文字が残ってしまうケースが多いです。

(例)誤字:明日は友達と映画をミニ行く。
   脱字:明日は友達とを見に行く。
   衍字:明日は友達と映画を見にに行く。

誤字脱字が発生する原因

誤字脱字の発生にはさまざまな原因があります。原因が一つではないからこそ、起こりうる原因を理解しておくことで、文章作成時に気を付けるべきポイントが見えてきます。

①入力ミス

PCやスマートフォンで文章を入力する際、誤って隣のキーを押してしまうことがあるかと思います。急いでいるときや入力スピードが速いと、こうしたミスが発生しやすく、なおかつミスに気が付きにくくなり、そのまま誤字脱字が残ってしまうことが多いです。

(例)×ありがとうございまうs
   ○ありがとうございます。

②変換ミス

PCやスマートフォンの自動変換機能によって、意図しない単語や漢字に変換されてしまうことがあります。特に同音異義語では変換ミスが発生しやすいため、変換候補をよく確認することが重要です。

(例)×五時脱字     ○誤字脱字
   ×スピードが早い  ○スピードが速い

③誤用・誤認識

慣用句や熟語などの誤認識も誤字脱字の原因です。また、「シミュレーション」「エンターテインメント」などの英語やカタカナは、発音に引っ張られて誤表記しやすくなります。

これらはそもそも覚え間違いによって発生するため、書き手自身のチェックでは防ぎにくく、手書きの場合はより一層の注意が必要です。

(例)×少しつ     ○少しずつ
   ×耳り      ○耳障り
   ×シュミレーション ○シミュレーション

④タイポグリセミア現象

タイポグリセミア現象とは、単語の最初と最後の文字が合っていれば、文字が入れ替わっていても正しく読めてしまう現象のことです。

例えば、以下の文章を読んでみてください。

こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です。
この ぶんょしう は いりぎす の ケブンッリジ だがいく の けゅきんう の けっか にんんげ は もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる という けゅきんう に もづいとて わざと もじの じんばゅん を いかれえて あまりす。

よく見ると、単語の順番がめちゃくちゃであるにもかかわらず、私たちは意味が通じる文章として読むことができてしまいます。これは人間の脳が、単語を文字列として視覚的に認識し、知っている言葉を瞬時に補完しているためです。

このタイポグリセミア現象によって、誤字脱字が見逃されやすくなるため、チェックする際にはこのような現象が起こることを意識しておくとよいでしょう。

広報誌・機関誌専門の編集業務委託・BPO

誤字脱字チェックのポイント

ポイント①誤字脱字がある前提でチェックする

どんなに完璧な文章だと思っていても、実際には誤字脱字がたくさんあった…というのはよくあるケースです。「大丈夫だろう」という思い込みが間違いを見落とす原因にもなるため、常に誤字脱字がある前提でチェックすることが重要です。

誤字脱字が発生しやすい同音異義語や過去のミスなどの傾向をつかみ、特に注意が必要な箇所を重点的に確認するのも効果的です。

ポイント②文章を読もうとしない

文章の内容を読みながら誤字脱字をチェックしようとすると、どうしても内容や文脈に意識が向いてしまい、タイポグリセミア現象によって誤字脱字に気づきにくくなります。

誤字脱字をチェックする際は、内容を読むのではなく、文章を文節や文字単位で区切るなどして、一文字ずつ確認しましょう。

ポイント③音読する

実際に声に出して読み上げることで、文字を目で追うだけでは気づかなかった誤字脱字や違和感が見つかることもあります。

自分で音読する以外にも、音声読み上げソフトを利用するのもおすすめです。

▼以下の記事では、無料で使える音声読み上げソフトをご紹介しています。

ポイント④プリントアウトする

PCなどの画面上でチェックしようとすると、スクロールやページの切り替え時に見落としが発生することがあります。WordやPowerPointなどPCで作成した文章であっても、一度紙にプリントアウトしてチェックすることをおすすめします。

プリントアウトすることで、ペンやマーカーで印をつけながら一文字ずつ目で追って確認でき、より正確に誤字脱字をチェックできます。

途中で確認作業を中断した際にも、印をつけておけば、どこまでチェックしたかが一目瞭然になり、見落としを防げるでしょう。

ポイント⑤数字や固有名詞は特に念入りにチェックする

数字や固有名詞は、表記に間違いがないか、特に念入りにチェックする必要があります。

具体的には、

・会社名
・人名
・住所
・電話番号
・商品名
・価格
・日付
・数値、データ

などが挙げられますが、これらは間違いが発生すると発行元の信用に関わったり、大きな問題に発展するおそれがあります。

これらは一見すると誤字脱字に気づきにくいですが、一文字ずつペンで印をつけたり音読することで、間違いを見つけやすくなります。数字を音読する際には、「カンマ」や「円」まで読み上げるのが効果的です。

ポイント⑥一度にチェックする項目を絞る

文章を確認する際、誤字脱字のほかに、内容の確認や表記ゆれの確認など、さまざまな項目をチェックするかと思います。

その際、誤字脱字、原稿との突き合わせ、内容の確認など、一度にすべての項目を網羅してチェックしようとすると、意識が散漫になり、間違いを見逃しやすくなってしまいます。特に、校正と校閲は同時に行おうとすると、表記の確認と内容の確認を並行して行うことになるため、精度が落ちてしまいます。

まずは誤字脱字のチェックのみを行い、その後に内容のチェックを行うなど、項目ごとに分けてチェックするのがおすすめです。

▼校正と校閲の違いについては、以下の記事でご紹介しています。

ポイント⑦複数人でチェックする

一人でチェックしていると、どうしても誤字脱字を見逃してしまうことがあります。特に自分で書いた文章の場合は、客観的な視点で見ることが難しいため、第三者にチェックしてもらうとよいでしょう。

時間がない場合は、数字や固有名詞など絶対に間違ってはいけない部分だけダブルチェックするという方法もあります。

ポイント⑧時間をおいて確認する

複数人でのチェックが難しい場合でも、時間をおいて再度確認することで、客観的に文章をチェックできるようになります。

時間を空けずにチェックすると「さっき確認したから大丈夫なはず」といった油断が生じやすくなるため、一晩置いたり、いったん別の作業を挟むなど、頭を切り替えることが重要です。

ポイント⑨校正ツールを使用する

ここまでご紹介したポイントは、どれも誤字脱字をなくすために有効ではありますが、やはり人の目では完全に誤字脱字をなくすことは難しいと言えます。そんなときは、校正ツールや誤字脱字チェッカーなどを使用するのもおすすめです。

誤字脱字だけでなく表記ゆれや文法の間違いなどをチェックできるものもあり、より読みやすい文章作成のためにもツールの活用は有効な方法の一つです。

アナログ(人の目によるチェック)とデジタル(ツールによるチェック)を併用することで、より高い精度で誤字脱字を見つけることができます。

まとめ

今回は誤字脱字の原因や、チェック時のポイントについてご紹介しました。

どんなに素晴らしい文章であっても、誤字脱字が多いと読者からの不信感やイメージダウンにつながってしまうことがあります。

文章作成において誤字脱字は避けられないものではありますが、今回ご紹介したポイントを意識して、じっくりと時間をかけて確認することが重要です。ぜひ参考にしてみてください。

広報誌・機関誌専門の編集業務委託・BPO