2015年9月15日
抜け漏れを防ぐには?マニュアル作成に必要な4つのヒアリング項目
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マニュアル作りの基本はヒアリング
マニュアルにはいくつかの種類があり、それぞれ性格や役割は異なります。しかしマニュアル作成や運用には、注意しなければいけない共通の考え方があります。
マニュアル作成は、単純に機械やシステムのオペレートを文書化するだけではなく、社内のルールを考慮した上で作成しなければいけません。
また、マニュアルは従業員のおおまかな作業を標準化するためのものでもあります。ここに一上司の私的な見解が入ることを防ぐ必要があります。
さらに、マニュアルには必ず意味があり、どのように扱えば会社のメリットが生まれるかの指標があります。そのため、経営者はこれを厳しく管理し、マニュアルによって成果が上がっているのかを把握しなければいけません。
もしあなたがマニュアル作成を依頼されたり、作成チームに入った場合、一体どこから手を付けるべきなのでしょうか。
機械やシステムを徹底的に触ったり、資料を集めてたたき台を作るということも必要でしょう。ただ、1番最初にすることは、マニュアル作成に対するヒアリングです。
マニュアル作成の肝はヒアリングであり、良いヒアリングができなければ良いマニュアルを作ることはできません。
そこで今回はマニュアル作成の第一歩、ヒアリングの流れとヒアリングで聞くべき項目についてお伝えしたいと思います。
マニュアル作成ヒアリングの流れ1.業界市場と動向調査を行う
聞くべきことが整理されていなければ、いきなりヒアリングをしても時間を無駄にしてしまいます。
良い回答を得たければ、良い質問をしなければいけません。
マニュアルを作るためには、その業務や業界の事前調査が必要になります。仮に顧客向けのマニュアルを作る場合は、まずは市場調査と業界動向を調べておきましょう。
マニュアル作成ヒアリングの流れ2.業務のアウトラインを把握する
業務マニュアルを作成する場合は、たとえ一部分のマニュアルだったとしても、業務全体を把握しておく必要があります。
まず最初に業務全体を統括する管理者、責任者に業務全体のアウトラインを聞き、業務内容の整理をしましょう。
マニュアル作成ヒアリングの流れ3.業務を階層化し、個別業務に分解する
業務全体のアウトラインを把握したら、業務内容を階層化し、個別業務に分解します。
それぞれの個別業務が何を行っているのか、そして、誰がどのようにかかわっているのかをまとめましょう。
マニュアル作成ヒアリングの流れ4.ヒアリングフォーマットを作成する
個別業務の内容を把握したら、業務オペレーションをイメージして、再度ヒアリング項目を考えます。
基本は、誰が何をするのかを明らかにするためのヒアリング項目ですが、その際に、スムーズに業務が流れた場合のメインルート、特別なことが起こったときのイレギュラールートに分けて業務を把握できると抜け漏れがなくなります。
マニュアル作成ヒアリングの流れ5.担当者ヒアリングのあと管理者に確認
フォーマット化されたヒアリングシートで、複数の担当者と同時に話ができる体制を作ると作業効率は上がります。
業務ごとに担当者にヒアリングしたあとは、内容をまとめた上で、管理者に確認をとります。特にイレギュラールートの内容を確認して、正しいマニュアルアクションを詰めていきます。
続いては具体的なヒアリング項目として、いくつかポイントを見ていきましょう。
マニュアルのヒアリング項目1.何を作るのか?
何に対するマニュアルを作るのかを確認して下さい。
たとえば、ある機械に対するマニュアルを作る場合に、取り扱い説明用の商品マニュアルを作ろうと思っていたら、オペレーションシステムの業務マニュアルも必要になるということがよくあります。
これは当事者も把握しておらずヒアリングの中で発覚することがあるため、必ず業務分解をして1つずつ確認していく必要があります。
マニュアルのヒアリング項目2.どこで使うのか?
作成するマニュアルがどこで使われるのかを特定してください。
製品マニュアルであれば、主に家庭で使われます。業務マニュアルであれば、社内で使われます。
社内と言っても、ある部署でパソコンを片手に使われるのか、現場で機械を前に使われるのかで意味合いが大きく異なります。
製品マニュアルにはある程度規格があるため、その仕様に沿って作れば良いのですが、社内で使われるマニュアルには規格がありません。
そのため、片手に持てるポケットブックサイズが良いのか、広げてしっかりと挿絵を確認できるタイプが良いのか、または、パソコンに表示させて遜色が無いフォントにすれば良いのか、など考えることはかなりあります。
マニュアルのヒアリング項目3.誰が使うのか?
どこで使うのかがわかれば、次は誰が使うのかです。
たとえば製品マニュアルと言っても、製品の対象が男性なのか、女性なのか、10代なのか、30代なのか、60代なのかなどの属性によって、製品マニュアルの見やすさを変えなければいけません。
特に文章メインで構成されるマニュアルは、可読性、視認性、判読性を十分考慮して作らなければいけません。
文章の読みやすさを決める可読性、視認性、判読性とは
業務マニュアルであれば、どのレベルの方に対してのマニュアルなのか、中堅社員、新入社員などに分かれるかもしれませんし、前述した通りデスクで使われるのか、現場で使われるのかで作り方が変わります。
誰でも一から作れる!業務マニュアルの制作手順と作り方
つまり想定される対象を間違ってしまうと、読みづらく、使いづらくなってしまい、マニュアルとしての機能が半減してしまうのです。
マニュアルのヒアリング項目4.何を実現したいのか?
全体像をつかむために、マニュアル作成によって何を実現したいのかを聞きましょう。
・今の使いづらいマニュアルを使いやすくしたい
・手順を追うだけで業務効率が上がるようにしたい
・製品知識がつくように、細かい説明を入れたい
・顧客からの問い合わせが軽減されるように勘所を押さえたい
など、マニュアルを作る目的はさまざま考えられるのです。
マニュアルは業務効率を上げるだけではなく、実際に売上の向上につながることもありますし、社内教育コストを削減する効果もあります。
とにかく、何を目指すのか、何を実現したいのかを聞き、どういう作りであれば希望に沿うのかを突き詰めていかなければいけません。
マニュアル作成の流れとヒアリング項目まとめ
マニュアルを作る作業は、ヒアリングで7割が完了すると言っても良い位、重要度の割合が高いものだということを認識してください。
マニュアル作成で失敗してしまう場合のほとんどが、「何を作るのか?」「どこで使うのか?」「誰が使うのか?」「何を実現したいのか?」のどれかが不足することで起こってしまいます。
業務内容や方針について認識のズレや内容の矛盾も出ますので、必ず複数の関係者+現場の責任者から話を聞いてすり合わせを行いましょう。
1つ注意点としては、業務マニュアルの場合、現場主導のオペレーションで作業が回っていることがあります。その場合、責任者と現場で考え方の相違が出ることがあります。
変にどちらかの肩を持つ必要はなく、「現場と責任者で、この部分においてこのような意見の相違が出ています。ここを話し合いで、どちらかに寄せて頂けますか」と担当者にまとめてもらうようにしましょう。
マニュアルとは、会社の規則・規範が反映された行動指示書です。土台がしっかりしていなければ、良いマニュアルはできません。
その土台を完成させるためにも、効果的なヒアリングを行うようにしましょう。