2025年11月12日

営業マニュアルの作り方とは?効果的に活用する4つのポイント

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

営業活動では、コミュニケーション能力やヒアリング力、商品知識など、さまざまなスキルや情報が求められます。

しかし、これらの営業スキルは個人の経験に依存しやすく、さらに業界や企業によって営業プロセスや顧客特性も異なるため、業務の属人化が起こりやすいのが実情です。

そこで活用したいのが、「営業マニュアル」です。営業に必要なノウハウを体系的に整理しておくことで、経験の浅い営業担当者でも即戦力として業務を行うことができ、チーム全体のスキル向上や属人化の解消が期待できます。

そこで今回は、営業マニュアルの基本的な作成方法とポイントをご紹介します。

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営業マニュアルの作成手順

1.目的・対象を明確にする

営業マニュアルの作成に取り掛かる前に、まずは「何のために」「誰のために」営業マニュアルを作るのかを明確にしましょう。

例えば、「新入社員の研修用」や「引き継ぎをスムーズに行うため」など、目的と対象者を定めておくことで、「業務の背景から丁寧に解説する」「専門用語は使わない」といった具体的な記載範囲や方針が自ずと固まってきます。

また、目的や対象が明確になれば、制作スケジュールや運用方法も決めやすくなります。例えば、「新入社員向けのため新年度までに完成させる」「研修で使用するためPowerPointで作成する」といったように、目的・対象とあわせてスケジュール・形式・運用方法を事前に決めておくとよいでしょう。

目的や対象者が不明確なまま進めてしまうと、不要な情報が増えたり、内容が伝わりにくくなったりする可能性があります。最初に目的と対象を明確にし、チーム全員で共有しておくことが望ましいです。

2.業務の洗い出し・整理

目的と対象が決まったら、それにあわせて営業マニュアルに必要な業務を洗い出していきます。まずは見出しレベルで項目をリストアップし、営業の流れに沿って時系列で必要な業務を挙げていくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。

業界や企業によって内容は異なりますが、一般的な営業マニュアルには業務内容や作業手順のほかに、以下のような項目が含まれます。

営業マニュアルに掲載する内容
①導入・はじめに
②営業活動における方針やビジョン
③自社の商品・サービスに関する情報
④営業に必要な基本的な知識やスキル
⑤営業活動の手順と業務内容
⑥顧客への対応方法・トークスクリプト
⑦顧客情報の管理方法
⑧トラブル・クレームへの対応方法

引用: 営業マニュアルに必要な8つの項目とは?目次テンプレートをご紹介

洗い出した業務は、カテゴリごとに整理・細分化し、マニュアルの構成を整えていきましょう。

▼以下の記事では、マニュアルに記載すべき項目と目次のテンプレートをご紹介しています。

3.ヒアリング・情報収集

次に、マニュアルに記載するための具体的な情報を集めます。既存の資料や営業報告書を活用するほか、現場の営業担当者や他部署へのヒアリングも有効です。

特に、成績のよい営業担当者やベテラン社員へのヒアリングは、実践的なノウハウや成功事例を得られる貴重な機会です。こうした情報をマニュアルに取り入れることで、営業チーム全体のスキルアップにつながります。

また、可能であれば複数人からヒアリングを行うことで、情報の偏りや抜け漏れを防ぐことができます。

▼ヒアリングの流れや質問例は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。

4.原稿作成

収集した情報をもとに、マニュアルの原稿を作成します。
原稿作成時は、以下のポイントを意識するとわかりやすい内容になります。

・最初に定めた「目的」と「対象者」を常に意識する
・図表や写真を活用し、視覚的に理解しやすくする
・長文を避け、見出しや箇条書きを効果的に使う

原稿が完成したら、実際にマニュアルを使用する営業担当者に確認してもらい、「内容に抜け漏れがないか」「表現がわかりにくくないか」をチェックしましょう。

問題がなければ、マニュアルを運用する媒体に落とし込んでいきます。テンプレートやフォーマットを活用するのも一つの方法です。

▼以下の記事では、無料のマニュアルテンプレートをご紹介しています。

5.配布・運用開始

マニュアルが完成したら、対象者に共有して運用を開始します。

マニュアルの共有方法としては、印刷して配布する、データを共有する、社内のイントラネットに格納する、などがありますが、営業マニュアルには機密情報が含まれる場合も多いため、「ローカル環境には保存しない」「パスワードを設定する」などのセキュリティ対策を講じることが重要です。

また、実際に運用していく中で不備や改善点が見つかることもあります。定期的にメンテナンスの機会を設け、最新の情報を反映することで、常に実践的なマニュアルを保つことができます。

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効果的に運用するためのポイント

1.困ったときにすぐに参照できるようにする

マニュアルは情報量が多くなるほど、必要な情報が見つけにくくなります。スムーズに参照できるよう、目次や索引を整備し、知りたい情報に素早くアクセスできる構成を意識しましょう。

見出しは一目で内容がわかるよう具体的に設定し、重要な箇所は太字や色などで協調するだけでも効果的です。

また、社内情報だけでなく、営業活動に役立つ業界動向や経済知識、ビジネス用語集なども盛り込んでおくと、「困ったときはマニュアルを見れば解決できる」という意識が定着し、マニュアルの活用度と信頼性が高まります。

2.営業ツールとしても活用できるようにする

営業マニュアルには、トークスクリプトやビジネスマナー、業務手順のほか、自社商品のセールスポイントや競合比較など、商品に関する情報も記載するケースが一般的です。

これらの「商品知識」に関する部分を、顧客向けの営業資料や販促ツールとしても再利用できるようにしておくと、新たに営業ツールを作成する手間を省くことができます。

もちろん、顧客向けに表現の調整や加筆修正は必要ですが、WordやPowerPointなど編集しやすい形式ででマニュアルを作成しておくと、柔軟に流用しやすくなります。

3.常に最新の情報を反映させる

どれほど完成度の高いマニュアルでも、内容が古くなれば使われなくなります。新商品・新サービス・業務フローの変更などがあった際は、迅速に内容を更新できる体制を整えておきましょう。

また、マニュアルの改訂ルールをあらかじめ決めておくことも重要です。例えば、「半年に一度は全体を見直す」「更新担当者を決めておく」などのルールを設けておくことで、常に最新の情報を維持できます。

▼マニュアルを改訂するタイミングや改訂方法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

4.効果測定を行う

マニュアルは一度作って終わりではありません。実際に現場で活用されているか、改善の余地がないかを定期的に検証することが重要です。

現場からのフィードバックを収集し、効果や過大を把握したうえで、必要に応じて修正・改訂を行いましょう。このサイクルを継続することで、より実践的で使いやすいマニュアルへと進化していきます。

まとめ

今回は、営業マニュアルの作り方と運用時のポイントについてご紹介しました。

営業マニュアルを効果的に活用することで、営業ノウハウがチーム全体に蓄積・共有され、個々のスキル向上や業務の属人化解消にもつながります。

また、マニュアル化しておきたい営業管理の項目については、以下の記事で解説していますので、こちらもあわせて参考にしてみてください。

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